公開日 2022年03月07日
会津若松市では、全庁のパソコンに「オープンソースのオフィスソフト(以下、OSSオフィスソフト)」を導入し、ワープロ・表計算などの文書ファイルのデータ形式にODF(オープンドキュメント形式)を採用しています。
ODFは、ISO(国際標準化機構)およびJIS(日本工業規格)によって標準規格と認定された文書形式であり、様々な対応ソフトウェアで利用することが出来ます。
目次
導入の目的
会津若松市では、パソコン導入時の費用削減と、パソコン文書の管理効率化を目的として、無償で利用できるOSSオフィスソフトを全庁的に導入しています。
費用削減効果
オフィスソフトが無償となることで、パソコンを購入する際の費用を継続的に削減することが出来ます。
電子文書の保存・保管の適正化
これまでは、何年も前にパソコンで作成した文書を編集しようとしても、最新のオフィスソフトでは取り扱いが出来なくなってしまう、といったケースがありました。
パソコンで文書を作成する際の国際標準規格を採用することにより、こういった事態を避けることが出来るようになります。
また、特定のソフトウェアに制約されることが無いため、一度ODFで作成した文書は、対応する様々なソフトウェアで長期的に利用することが出来ます。
利用者の利便性が向上します
これまでは、市のホームページで配布している申請書類などの文書を、利用者が編集する際に、場合によっては有料のソフトウェアを購入していただく必要がありました。
今後は、無償で利用できるOSSオフィスソフトを利用することで、利用者が有料のソフトウェアを購入しなくても、これらの文書を編集することが出来るようになります。また、市民がOSSオフィスソフトで作成した文書を、市が受け取ることも可能となります。
地元産業の振興
OSSオフィスソフトをはじめとして、無償で利用できるオープンソースソフトウェアを積極的に活用します。
また、その導入にあたっては、業務委託などへの地元企業の参入を促進し、地元産業の振興につなげていきます。
導入までの経過
OSSオフィスソフトの導入の経過についてご紹介します。
2003年2月
- 北海道伊達市がOpenOffice.orgを採用
- OpenOffice.orgに注目
- OpenOffice.org 1.1.2から課内での試用・評価を開始
2005年8月
- 情報統計課認定フリーソフトとして庁内での使用を許可
- 希望者を対象にインストールを実施
- MS-PowerPointの代替としても使用を奨励
2006年2月
- 栃木県二宮町でLinux+OpenOfficeを導入(IPA実証事業)
- 全庁的な導入に向け検討を開始
2007年6月
- OpenOffice.org全庁導入の事業実施を行政評価に提案
2007年7月
- 庁内向け匿名掲示板(職員提言用)に事業計画を投稿し、職員の意見聴取開始
- 意見要望等に具体的な対応を回答・実施
2007年8月から10月まで
- 職員が試用できるように庁内全パソコンにOpenOffice.orgを導入
- 2008年3月
「研修講師養成」研修の実施(情報統計課職員)
- ※職員研修教材としてe-ラーニング教材を購入
2008年5月から8月まで
- 職員研修開始
- 初級者向け集合研修、中級者以上はe-ラーニング受講を推奨
2008年10月から
- 事務用パソコンの入れ替え(240台)
- オフィスソフトとしては、原則としてオープンオフィスのみをインストール
2012年4月から
- 庁内標準のオフィスソフトとしてLibreOfficeを全面的に採用
費用効果(試算)
OSSオフィスソフトの導入に伴い、発生するコスト、削減が期待されるコストの算定根拠を掲載します。
削減が期待されるコスト(2007年時点の試算)
業務上、有償ソフトの使用が避けられない場合もあるため、15%程度の有償ソフトは併用すると想定した上で、約1500万円程度の削減効果があると試算しています。
これは、庁内全てのパソコンが入れ替わる、約5年間を想定しており、運用期間が延びるに従い、効果の増大が期待できます。
※この試算は2007年の導入当時のものであり、現在の状況とは異なります。
発生するコスト(人的コスト)
- 利用者研修:毎年定例で行っている職員研修の一環として実施(以下に実績掲載)
- 運用サポート:掲示板などによる、情報統計課職員および職員相互によるサポート
- 初期インストールおよびバージョンアップ作業:年数回行っている設定作業の一環として実施
- 職員が熟練するまでの効率低下:運用サポートの実施
- 文書ファイルの移行:利用するものから順次移行 ・ 一括変換の方法を提示
※研修会実績(平成20年5月から8月まで)
- e-ラーニング研修
受講者 178名×2時間 - 集合研修
受講者 延べ389名×2.5時間
研修講師+アシスタント 3名×延べ41回×2.5時間
ODF(オープンドキュメント形式)について
ODF(オープンドキュメントフォーマット)形式のファイルは、2007年にISO(国際標準化機構)によって、パソコンで文書を作成する際の、国際標準規格として認定されました。
ODF文書形式には、以下のような特徴があります。
- 世界中で標準的に利用できる
- ファイル形式の仕様が公開されているため、利用にあたり特定のソフトウェアに縛られることが無い
- LibreOffice、オープンオフィスなどのOSSオフィスソフトが標準で対応している
ODF文書形式のファイル名
ODF文書形式で作成された文書ファイルは、以下の様なファイル名になります。
文書の種別 | 拡張子 |
---|---|
ワープロ | *.odt |
表計算 | *.ods |
プレゼンテーション | *.odp |
データベース | *.odb |
図形 | *.odg |
数式 | *.odf |
リブレオフィス(LibreOffice)について
平成24年1月より、庁内のすべてのパソコンに導入しているOSSオフィスソフト「OpenOffice.org」の更新に替えて、「OpenOffice.org」の機能強化版にあたる「LibreOffice」を全庁導入しています。
OpenOffice.orgからの移行や利用に際しての様々な情報を公開します。
リブレオフィス導入に関する情報公開
リブレオフィスについて
OSSオフィスソフト「LibreOffice」は、有志によって「OpenOffice.org」を基に独自の機能強化が進められているソフトウェアであり、以下の様な特徴を持っています。- OpenOffice.orgと同様に、ODFでの編集を標準とする無償で利用可能なOSSオフィスソフトです。
- 他のオフィス製品で作成したドキュメントを高い精度で編集することが可能です。
- その他、使いやすさを向上させるための様々な改善点があります。
- ダウンロード:http://ja.libreoffice.org/download/
オープンオフィス(OpenOffice.org)について
- 無償で利用できる
- 高機能である
- ISO(国際標準化機構)によって国際標準規格と認定された文書形式、「ODF形式」に対応している
- 様々な環境のパソコンで利用することが出来る
これらの機能は高い水準を持って開発されており、また無償で配布されていることから、誰もが自由に入手し、利用することが出来ます。
オープンオフィスを入手するには
OSSオフィスソフト「OpenOffice.org」は、下記のサイトから無償で入手することが出来ます。OpenOffice.org日本語プロジェクト公式サイト
導入・利用に関する情報公開
導入・利用に関する情報公開
OSSオフィスソフトの導入や利用に際しての様々な情報を公開します。普及・啓発活動
OSSオフィスソフト及びODFの普及促進に向けた取り組みをご紹介します。
出前講座
情報統計課では、OSSオフィスソフト・オープンドキュメントの活用を検討している団体及び市民の皆さんを対象に、出前講座を実施しています。
講座では、当市の取り組んでいるOSSオフィスソフトの導入経過や、導入のノウハウについて紹介いたします。
ご興味のある方は、是非ご利用ください。
- 市が導入を進めている、OSSオフィスソフト・オープンドキュメントについてご説明します
- 所要時間:60分
- 対象者:小学生(高学年)、中学生、高校生、一般
- 実施所属:情報統計課
出前講座の申し込み方法など、基本的な情報は以下のページをご覧下さい。
ミニマガジン「オープンオフィスにしませんか?-会津若松市が導入した無償オフィスソフト-」
これまでの取り組みにはどういった意味があるのか、また、これまでの取り組みのなかで得られたノウハウについて、親しみやすい冊子形式にまとめました。
オープンオフィス・オープンドキュメントに興味があるが、まだ使ったことが無い方に、是非ご一読頂ければと思います。
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