令和6年度文化財についての意見交換会を開催しました!

公開日 2024年12月09日

令和6年11月10日(日)に生涯総合学習センター(會津稽古堂)にて「文化財についての意見交換会」を開催しました。

意見交換会のテーマ

  1. 地域で大切にされている歴史や文化、それらを活用した取り組みをしている地域の方の発表を聞きながら、歴史文化継承の意義や問題点を話し合う
  2. 地域で大切にされてきた歴史や文化の保存や活用方法について情報交換を行う 

開催内容

第1部 地域の歴史資源を活用した取り組みについて

  1. アンカー赤井の大イチョウ夜会等について(ルート294湊翔(みなと)会 会長 渡部裕哉さん) 
  2. 柳原地区の皆鶴姫伝承・菅原神社の祭礼等について(柳原町内会 区長 大塚敏久さん)
  3. 寺堀地区のホタル・毘沙門天像等について(寺堀町内会 区長 大竹順一さん)
  4. 発表者への質問および回答

第2部 地域に残る歴史資源とその保存・活用について

第1部 地域の歴史資源を活用した取り組みについて

 地域の祭礼を継承する取り組みについて、実行委員会の会長及び町内会の区長さんからご報告を頂きました。

アンカー1 赤井の大イチョウ夜会等について

ルート294湊翔会の概要

赤井の大イチョウの発表をしている様子です。ルート294湊翔会 会長 渡部さん

ルート294湊翔会(みなとかい)は、市指定天然記念物である「赤井の大イチョウ」が、広く知られるようになり、子どもたちが誇れる地域の宝となるようにとの思いから、令和元年に組織されました。会は、主に30~40代の会員で構成されています。

 

赤井の大イチョウ夜会、ライトアップについて

 「赤井の大イチョウ」のライトアップは、令和元年から継続して実施しています(外部リンク)。大イチョウまでの誘導路に、紙コップを使った灯籠を並べ、その灯籠にイラストや文字などを湊学園の子供たちに描いてもらっています。
 第1回目は2週間ライトアップしていましたが、平日働いている人が多く運営が大変であるため、翌年からは土日限定で計4日開催しています。毎年1,000人程度が来場しており、今年は無料で配布する豚汁の数も増やし、例年以上の来場者を見込んでいます。
 ライトアップに係る費用などは、NPOみんなと湊ネットワーク(外部リンク)から出してもらっており、売店はルート294湊翔会の財源で運営しています。ライトアップ開催にあたって懸案事項としては、旧赤井小学校グラウンド跡地を来場者用の駐車場として使用しているのですが、もともと駐車場として整備されたものではないので、安全に誘導することに苦心しており、駐車場に向かう道路が一方通行で、誘導が大変であることなどが挙げられます。

ルート294湊翔会のその他の活動と今後の活動

 国道294号線の沿道のゴミ拾いを、地元の子供も参加し年1回開催しているほか、地域とのコミュニケーションを図るため、ゴルフコンペも開催しています。
 これからも会員どうしの懇親を図りながら、ライトアップなどの色々な活動を継続していきたいと考えています。

アンカー2 柳原地区の皆鶴姫伝承・菅原神社の祭礼等について

帽子丸伝説と帽子丸の墓について

帽子丸のお墓についての発表をしている様子です。 柳原地区 区長 大塚さん

 柳原地区にある菅原神社周辺には、かつて「帽子沼」という沼がありました。今から約800年前に義経の妻の皆鶴姫が、その子どもである帽子丸とこの地に逃げてきました。しかし、敵につかまってしまい、帽子丸がその沼で溺死させられたという伝承が柳原地区に残されています。その「帽子沼」があった場所には、町内会で帽子丸伝説についての説明看板を作成し、平成28年には看板を新しく作り変えました。
 また、柳原地区では帽子丸を弔うため、明治23年ごろに帽子丸の墓を地区で作りました。設立当時は別の場所にあったのですが、宅地開発のため菅原神社近くの現在の場所に移転しています。

 

帽子丸の墓の保全の取り組み

 柳原地区では、40歳以上であれば誰でも加入できる「ふれあいクラブ」があります。「ふれあいクラブ」では、帽子丸の墓の周りにある花を管理する、毎月行う清掃などの活動を積極的に行っています。

菅原神社の維持管理

 現在、菅原神社には神主がいないため、地区の住民から氏子が選出され、神社の維持管理などを行っています。

菅原神社の祭礼と山車

 令和5年までは子ども会が中心となって実施していましたが、子ども会から「子どもの減少などで出来ないため祭礼を止めたい」という要望が区長にありました。しかし、伝統行事を途絶えさせてはならないという思いから、ふれあいクラブや氏子、日本赤十字社などの町内会の団体で実行委員会を組織し、実施することとしました。
 祭礼に向けての準備は、事業のPDCAサイクルを表で作成し計画的に行いました。祭礼当日は、大勢の人が訪れて大盛況でした。日本の伝統文化は町内会にも残っています。これらを次世代に受け継ぐためには歴史伝承と継承する仕組みづくりが重要です。町内会のみならず、各種団体との協力が必要であると思います。

3 寺堀地区のホタル・毘沙門天像等について

ホタルの発生

ホタルの保全についての発表を行っています。 寺堀地区 区長 大竹さん

 北会津村だった頃にはたくさん見られたホタルを増やし、地区の活性化を図ろうと、北会津町ではホタルまつりを開催しています。寺堀地区では、平成21年頃からホタルが見られるようになり、平成23年頃、水路にホタルが大量発生したため、ホタルの保全に取り組み始めました。
 そのときの区長だった鈴木さんが、現在も熱心にホタルの保全に取り組んでおり、自分の田んぼにビオトープを造成し、ホタルが発生する環境作りを行っています。

 

ホタルの保全について

 まず水路に落ちている空き缶拾いから始めました。その活動からしばらくして行った水質検査では、水質がホタルの生育環境に適しているとの評価を受け、集落内と寺堀地区の入口にホタルの案内看板を設置しました。
 餌となるカワニナが寺堀地区にたくさんいるため、水路に放流したり、北会津支所で養殖しているホタルをもらったりして、ホタルが増えるように努めています。また、6月初旬から下旬には、ホタルが強い光がある環境を好まないため、タイマーにより街灯をホタルが発生する時間に消えるように調整しています。
 寺堀地区の前区長だった大竹さんは、ホタルの生態等を調べて、ホタルの生育に適するように草刈り等を行い、ホタルの発生期間中は除草剤を散布しない、荒舘小学校の児童を対象としたホタルの生態についての授業を実施するなど積極的な取り組みを行っています。これからも、ホタルの生息する環境を地域一丸となって保全していきたいと思っています。

ホタルの見学者について

 年々口コミにより見学者が増加しており、北会津のホタル祭りと連携し、一般の見学者を受け入れています。祭りの開催期間中は駐車場の提供、案内板の設置、駐車場への誘導を地区のみんなが手分けして行っています。

毘沙門天像について

 寺堀地区には、市指定文化財となっている「多門院毘沙門天像」があります。毎年10月に収穫感謝祭を開催し、毘沙門天像が納められているお堂を開帳し、毘沙門天像にお供えを行っています。

4 発表者への質問および回答

 会場にお集まりいただいた皆さんから発表いただいた方への質問および回答がありましたので、いくつかご紹介します。

赤井の大イチョウ夜会等について

  • ご自身が子どものころから赤井の大イチョウがすごい、という感想を持っていましたか。

 子どものころはそこまで有名ではなく、地元でも一部の人しか知りませんでした。ルート294湊翔会でライトアップするようになってから、広く知られるようになった印象があります。

  • 赤井の大イチョウのライトアップの写真コンペは開催していますか。

 現時点では、開催していません。ただし、企画はしています。

  • 赤井の大イチョウを結婚フォトスポットとしての活用は検討していますか。

 令和5年では、1組のカップルがフォトスポットとして使用しました。

  • 湊翔会のメンバーは募集していますか。

 募集は行っています。地元の消防団や下の年代層に声をかけていますが、若い人は「面倒くさい」と言って入りたがらないため、新しい人を取り込むことも課題の一つです。

柳原地区の皆鶴姫伝承・菅原神社の祭礼等について

  • 実行委員会形式で祭りを開催するにあたっての問題点や苦労したことなどはありましたか。

 地区の中で、祭りの開催や山車について、若年齢層とその上の年齢層との間で意見が異なっていました。しかし、長年続いた伝統を途絶えさせてはならないという思いから、開催することとなりました。それまでは、子供会で祭りを運営していましたが、少子化の影響でできなくなりました。そのため、実行委員会を結成し、地区の16人の方が委員となり、祭りの運営を行いました。

寺堀地区のホタル・毘沙門天像等について

  • ホタルを見る方が増えてきたため、地区で駐車場を決め、その駐車場の整理も地区の方が自発的に行っているということですが、なぜ地区で駐車場を提供しよう、ということになったのでしょうか。

 前区長からの提案でした。交通事故が懸念されるため、水路への案内を集落の人にお願いしました。役員会を開き、案内に参加できる人を中心に2、3人編成で行っています。自主的にお手伝いに来る方もいます。謝金はありません。

第2部 地域に残る歴史資源とその保存・活用について

 会場にお集まりいただいた皆さんと地域に残る歴史資源について、その継承方法、活用方法など意見交換を行いました。ここでは、意見交換での内容を一部ご紹介します。

第2部を開催している様子意見交換は大変活発に行われました

河東町

  • 皆鶴姫のキャラクターを会津短大の学生たちとコンペを実施して作成しました。(関連リンク)キャラクターの選定には河東学園の子供たちや地域づくり団体などが携わり、およそ20作品の中から選ばれました。選ばれたキャラクターをデザインしたグッズを作成し、郡山地区のみしらず柿や、水のボトルでキャラクターを使用したり、河東学園の旗をリニューアルする際に、キャラクターを入れたり、活用を進めています。今後も5件ほど活用する予定です。キャラクターの使用にはマニュアルがあり、それを公開したところ、問い合わせがたくさんありました。現在、帽子丸もキャラクター化できないか検討し、準備を進めています。

材木町

  • 令和5年に地元で行っている子ども囃子が復活し、それから1年が経ち、13人の子どもたちが一人もかけることなくお囃子の練習を続けています。なぜこのように続いているのかと考えたところ、父兄も一緒に活動できていることや、上からの押し付けではなく、半分遊びのような感覚で集まっていることが良い結果を生んでいると思います。現在参加している子どもたちは、以前お囃子を演奏していたOB、OGの子どもであり、そのことを聞きつけて他のOB、OGも活動に参加するなど、活動の盛り上がりにつながっています。

 皆さんのご参加ありがとうございました。

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  • 会津若松市教育委員会文化課 文化財グループ
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